トピックス・お知らせ
2023/03/09

トポロジカル量子物質の新奇スイッチング/メモリー効果を室温で実現

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「トポロジカル量子物質」とは、電子状態がトポロジカルに「捻れた」物質であり、従来知られている金属・絶縁体・半導体などとは根本的に異なる性質を持つ物質です。今回の研究では、このトポロジカル量子物質の一種であり「トポロジカル結晶絶縁体」と呼ばれるPbSnTe(鉛錫テルル)を用いて、そのトポロジカルな性質のもとになる「ベリー曲率双極子」と強誘電性との協奏に由来するスイッチング効果とメモリー効果を室温で発見・実現しました。この成果はトポロジカル量子物質の電子デバイスへの展開に新たな可能性を付与すると共に、同物質の応用への道を拓くものです。

>トポロジカル量子物質の新奇スイッチング/メモリー効果を室温で実現
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2023/02/14

博士論文・修士論文公開発表会

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博士論文・修士論文公開発表会のスケジュールは以下をご覧ください。
博士論文公開発表会
修士論文公開発表会(A班)
修士論文公開発表会(B班)
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2022/08/30

トポロジカル結晶絶縁体への強磁性の染み出しを初めて観測

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トポロジカル絶縁体は、結晶表面でスピンのそろった電子が散乱を受けずに高速で運動する特異な状態にあることから注目を集めています。本研究では、トポロジカル結晶絶縁体であるSnTe(テルル化錫)と身近な鉄とを接合した試料において、両者の境界面で鉄の強磁性の性質がSnTe側に「染み出す」ことで、SnTe表面で電子のスピンがそろう強磁性の状態であることを中性子を用いた観測(偏極中性子反射率測定)で明らかにしました。トポロジカル絶縁体の中でも比較的新しい種類であるトポロジカル結晶絶縁体で強磁性の染み出しが観測されたのは初めてであり、超低消費電力デバイスなどへの応用が期待されます。

>トポロジカル結晶絶縁体への強磁性の染み出しを初めて観測〜超省エネデバイス実現に道筋〜


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2022/08/26

レーザー照射による共鳴励起でワイル半金属相を創成

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電子状態が非自明なトポロジーを持つ物質であるトポロジカル物質は、巨大磁気抵抗効果などの特異は物性を示すことから近年注目を集めています。本研究では、通常の半導体に高強度レーザーを照射することにより、トポロジカル物質の一種であるワイル半金属状態が実現されうることを理論的に示しました。今回の研究成果は、レーザー光による物質の状態制御の可能性を広げるものであり、元となる物質を電子同士の相互作用が強い物に変更することなどによって、さらに多様な物性を光創成することができると期待されます。

>レーザー照射による共鳴励起でワイル半金属相を創成

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2022/08/05

お椀型多面体マイクロ単結晶の均一かつ精密な成長制御に成功

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ビスマスや雪の結晶などに見られる、骸晶(がいしょう)と呼ばれる凹多面体型の結晶は、形状やサイズの制御が難しく、その精密な構造制御は結晶成長分野における課題の一つです。山本教授、山岸助教らは、キラルな構造をもつ有機分子の結晶化プロセスを精密に制御することで、サイズ、形状、配向性が揃ったマイクロサイズのお椀型結晶の作製に成功しました。また、お椀としての機能や、連結することによるマイクロサイズの芳香族分子模型の作製にも成功しました。

>お椀型多面体マイクロ単結晶の均一かつ精密な成長制御に成功
>原著
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2022/07/02

駒場京花D2が第71回高分子学会年次大会でポスター賞を受賞

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理工情報生命学術院 数理物質科学研究群 応用理工学学位プログラム 物性・分子工学サブプログラムの駒場京花(こまば きょうか, 博士後期課程2年)大学院生は,液晶性や発光性をあわせもつ新しい置換型ポリアセチレンに関する研究が評価され,高分子学会より優秀ポスター賞を受賞しました。ポリアセチレンは本学の白川英樹名誉教授により開発された世界初の導電性高分子です。本研究では,ポリアセチレンの化学合成を行うとともに,精密な電子的測定も行いました。磁気的性質の検討を行うことで,伝導電子のソリトン的な挙動や電子のホッピングなども考察しました

>第72回高分子学会年次大会(spsj.or.jp)

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2022/07/01

CO2水素化によるメタノール合成の反応過程を解明

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二酸化炭素(CO2)の排出量は世界で増加し続けており、これを再利用する手段として注目されているのがCO2の水素化によるメタノール合成です。メタノールは今後、エネルギー媒体として、再生可能エネルギーを用いた社会において重要な役割を担うと期待されています。CO2の水素化によるメタノール合成では、銅(Cu)系触媒が用いられますが、反応温度の低温化と転換効率の向上が求められており、そのためには、反応メカニズムを明らかにすることが不可欠です。 本研究では、触媒の表面上でCO2の水素化が進行する反応メカニズムの概略を明らかにすることに成功しました。

>CO2水素化によるメタノール合成の反応過程を解明
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2022/06/15

有機溶媒中で導電性高分子ポリアニリンを容易に合成する方法を開発

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ポリアニリンは、低コストで電気伝導性が高く、水中で合成できることから、多方面で研究・応用が行われている導電性ポリマーの一つです。しかし、有機溶媒に溶けにくいために他のプラスチックと 複合化することが難しく、また、熱溶融性がなく加工性が低いといった難点があり、工業的応用はあま り進んでいません。 本研究では、微量のヨウ素を添加することにより、ポリアニリンをアルコール中で合成することに成功しました。同様の方法で、トルエンやクロロホルムなどの汎用有機溶媒中でも、ポリアニリンを簡 便に合成することができます。 これにより、ポリアニリンと、有機溶媒に溶ける物質との複合化が可能となり、例えば、導電性を持つ柔軟なゴムや半透明材料といった、異なるポリマーの特徴を併せ持つ導電性ポリマーコンポジットを作成することが可能となります。


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2022/06/08

反応場をらせん構造にした光学活性ポリマー合成法を開発

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ポリマーの材料であるモノマー自体に光学活性を持たせ、これを通常の液晶に添加することにより、液晶全体をらせん構造に変えました。ここで重合反応を行い、大きな光学回転を持つポリマーを形成しました。
得られたポリマーは電気的に光学回転を制御することができます。これを「光学活性自己増幅液晶中重合」としました。

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2022/05/23

近藤剛弘准教授が2022年日本表面真空学会のフェローに選出

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数理物質系の近藤剛弘准教授が2022年日本表面真空学会のフェローに選出されました。日本表面真空学会は会員2,000名規模の学会であり、表面と真空に関する科学・技術とその応用を対象としています。本称号は「表面・真空科学とその産業利用の進歩発展ならびに教育・公益活動に、顕著な業績をあげた個人会員に対し称号を授与する」とする規程に沿って厳正な選考を行った結果、授与されるものです。2022年5月21日(土)に開催された日本表面真空学会通常総会後の表彰式で、フェロー称号を授与されました。

【受賞業績】
「新規ホウ素含有二次元物質の生成と機能の開拓」
【受賞者】

21:22 | 投票する | 投票数(0)
2022/04/27

三元系高分子太陽電池の安定性向上メカニズムを解明

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 3種類の半導体材料を用いた三元系高分子太陽電池が、高効率な次世代の太陽電池として注目を集めています。有機材料を用いて安いコストで作製できるほか、プラスチック基板に塗るだけで製造できるため、コストや環境負荷の抑制につながり、大面積化も可能であることでも注目されています。しかし、分子レベルの劣化メカニズムは不明で、太陽電池を長寿命化する上での妨げとなっていました。
 本研究では、電子スピン共鳴を活用し、従来の手法では難しかった三元系高分子太陽電池の安定性向上メカニズムを分子レベルで解明することに成功しました。独自に開発した太陽電池の構造を活用し、電子スピン共鳴と太陽電池の性能を同時に計測する、世界初の測定手法を用いた成果です。
 この手法による計測の結果、太陽電池が動作している状態で、太陽電池の内部の電荷状態(スピン状態)の変化が太陽電池の性能(電流や電圧)と強く相関していました。また、太陽電池の性能の変化は、太陽電池の構成材料である光活性層と電子輸送層の電荷状態の変化に由来することが分かりました。この変化は太陽電池の電流の減少と電圧の増加を生じさせます。そして、3種類の半導体材料のうちn型半導体を光活性層に添加することで、光照射による電荷の蓄積が抑制され、太陽電池の劣化が抑えられることが明らかになりました。
 本研究チームの開発した手法により、太陽電池の劣化を防ぐために必要な、これまでにない分子レベルの情報を提供することが可能となりました。
 本手法で得られた分子レベルの情報を基にすることで、低コスト、高効率かつ長寿命で、環境にも優しい太陽電池の製品開発が効率良く進むことが期待されます。

>三元系高分子太陽電池の安定性向上メカニズムを解明〜塗布型で低コストの製品開発に貢献〜

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2022/02/10

博士論文公聴会・修士論文発表会(令和4年3月修了)

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・博士論文公聴会のスケジュールはこちらをご覧ください。
 参加方法は各主査にお問い合わせください。

・修士論文発表会のスケジュールはこちらをご覧ください。
 修士論文発表会(2月15-16日)はオンラインTeamsで行います。

オンライン発表会への参加希望者は学務委員 (木島:kijima@ims.tsukuba.ac.jp <mailto:kijima@ims.tsukuba.ac.jp> )までご連絡ください。

14:49 | 投票する | 投票数(0)
2021/11/01

物質工学域 助教の公募(テニュアトラック制)

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筑波大学数理物質系物質工学域では、助教(テニュアトラック制)を公募いたします。

物質工学域 助教の公募(テニュアトラック制)

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2021/10/28

新しい半導体物質「硫化ホウ素シート」の生成に成功

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 硫化ホウ素シートは、ホウ素と硫黄から構成される原子4層の厚みの二次元状に広がった物質で、優れた熱電特性や水素吸蔵特性を示すことが理論的に予測されていました。しかしながら、これまでに実際に合成あるいは観測された報告はありませんでした。本研究では菱面体硫化ホウ素という層状の物質の表面を剥離することにより、硫化ホウ素シートの生成に成功しました。
 分析の結果、この硫化ホウ素シートは、ホウ素と硫黄が共有結合した半導体であり、このシートを重ね合わせることで、バンドギャップが最大で1.0 eV(エレクトロンボルト)程度変化することが分かりました。これは、太陽電池やトランジスタなどの電子デバイス部品や、光触媒として用いる上で重要な特性です。さらに、電子の有効質量が軽いという性質を持ったn型半導体であることが計算により示されました。
 今後、理論予測されていた熱電材料や水素貯蔵材料としての応用に加え、電子デバイスの半導体部品としての利用や、光触媒としての応用、光に反応するセンサー材料など、幅広い分野への展開が期待されます。

新しい半導体物質「硫化ホウ素シート」の生成に成功

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2021/06/09

有機マイクロ球体から発生する円偏光発光の角度依存性を実証

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 円偏光発光(Circularly Polarized Luminescence, CPL)は、偏光面が右または左回りに回転しながら伝搬するキラル(鏡像異性)な光が生じる現象で、立体視デバイスや量子コンピュータへの応用が期待されています。分子や分子集合体から発生するCPLには角度依存性があることが長らく予測されてきましたが、実証はされていませんでした。

 今回、本研究グループは、キラルな側鎖を持つπ共役ポリマーの自己組織化により、巨大な非対称強度でCPLを示す有機マイクロ球体を作製することに成功しました。また、このマイクロ球体は、外形は等方的な球体形状であるにも関わらず、内部に、ねじれ双極型配向と呼ばれる異方的ならせん分子配向が形成していることを見いだしました。さらに、マイクロ球体1粒子の角度分解CPLを計測した結果、分子配向方向に対するCPLの角度依存性の実験的な実証に成功しました。

 本研究は、次世代型の光技術に有用な異方性円偏光発光マイクロ素子の開発につながるとともに、キラルな光物質相互作用やトポロジカル欠陥の学理を調査するための理想的な研究対象となることが期待されます。

>有機マイクロ球体から発生する円偏光発光の角度依存性を実証


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2021/04/27

物性・分子工学サブプログラムのオープンキャンパスの動画

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物性・分子工学サブプログラムのオープンキャンパスの動画がYouTube(筑波大学チャンネル)にアップロードされました。

■研究群オープンキャンパス(日本語)
https://grad.pas.tsukuba.ac.jp/admissions/opencampus/   (日本語)
https://grad.pas.tsukuba.ac.jp/admissions/opencampus/?lang=en  (英語)

■物性・分子工学サブプログラム紹介動画 (YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=e-hD1Cq58xc
12:43 | 投票する | 投票数(4)
2021/03/07

動作中のMoS2薄膜トランジスタの電子スピン状態を解明

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 原子層1層から数層の厚みしかない平面状(2次元)の物質や結晶を原子層物質と呼びます。その構造に由来する、従来の材料にない性質を示すことから大きな注目を集めています。炭素原子が六角形の格子状に連なったグラフェンの発見をきっかけに、この分野の研究が爆発的に進みました。その中でも現在、高い関心を集めているのが遷移金属ダイカルコゲナイドと呼ばれる原子層物質で、次世代の半導体材料として期待されています。更なる高性能化や応用には、電子が持つスピンという性質の状態を原子レベルのミクロな観点で知る必要がありますが、これまでは解明されていませんでした。
 本研究では、電子スピン共鳴を活用し、従来の手法では困難だった遷移金属ダイカルコゲナイドの電子スピン状態を原子レベルで解明することに成功しました。独自に開発したトランジスタの構造を活用し、トランジスタ動作時に電子スピン共鳴を計測する、世界初開発の測定手法を用いた成果です。
 具体的には、代表的な遷移金属ダイカルコゲナイドであるMoS2(二硫化モリブデン)を用いて作製した薄膜トランジスタが動作している状態で、3種類の電子スピン共鳴の信号を検出しました。信号の温度依存性などを調べ、理論計算も駆使して電子スピン状態を解析し、3種類の信号がそれぞれ、伝導電子、MoS2中のS原子空孔、MoS2中のMoS6原子空孔に由来することを明らかにしました。また、従来の典型的な原子層物質グラフェンとは異なるスピン散乱機構が生じていることも分かりました。
 本研究チームが開発した手法を活用すれば、次世代半導体材料となることが期待される原子層物質の動作機構について、これまでにない原子レベルの情報を提供することが可能となります。
 今後、本手法で得られた原子レベルの情報を基にすることで、更なる高性能トランジスタの開発や磁性を活用した新たな半導体開発などが進むと期待されます。

動作中のMoS2薄膜トランジスタの電子スピン状態を解明 〜磁性を活用した次世代半導体材料の開発に貢献〜
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2021/02/24

光による"ひずみ波"の伝搬で固体相転移が進行することを発見

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 東京大学大学院理学系研究科の大越慎一教授、筑波大学数理物質系の所裕子教授は、フランス・レンヌ大学物理学教室のセリーヌ マリエット博士、マチェイロラン博士、マルコ カマラタ博士らと共同で、フランスCNRS国際共同研究所IM-LED(注1)の国際共同研究の一環として、金属酸化物で唯一、室温で光誘起相転移を示すラムダ型-五酸化三チタン(λ-Ti3O5)(注2)の光誘起相転移に関して研究を推進しています。今回、スイスX線自由電子レーザー施設(Swiss-FEL)(注3)の超高速X線粉末回折実験(時間分解能:500 fs)により、光照射によってTi3O5結晶中の構造が500フェムト秒(fs)で変形し、光が照射されたTi3O5表面から結晶中をピコ秒オーダーで伝搬するひずみ波によって、相転移が進行することを初めて観測しました。弾性体モデル解析により、ベータ型-五酸化三チタン(β-Ti3O5)(注4)からλ-Ti3O5への相転移は、伝搬する“ひずみ波”の進行と同時に16 ps(ピコ秒)までの間に起こり、熱拡散による相転移(〜100ナノ秒)よりも桁違いに早いことが明らかになりました。このようなひずみ波伝搬による相転移現象の観測は初めてです。ひずみ波をメカニズムとする相転移は、他のさまざまな固体物質においても適用できる可能性が高いと考えられます。
 なお、本研究は、EU大型施設Swiss-FELの初の時間分解X線粉末回折パイロット実験として観測された貴重な実験データであり、最新のX線自由電子レーザー(XFEL)光源を用いれば、原子の動きや格子歪みの伝搬をフェムト秒スケールのリアルタイムで調べることが可能であることを実証しました。

>
光による"ひずみ波"の伝搬で固体相転移が進行することを発見-Swiss-FEL初の時間分解X線粉末回折測定のパイロット実験で明らかに-

17:48 | 投票する | 投票数(1)
2021/02/12

博士論文公開発表会

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博士論文公開発表会のスケジュールはこちらをご覧ください。
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2021/01/08

窒素ドープカーボン触媒の反応メカニズムを解明

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 クリーンなエネルギー源として水素燃料電池の利用が始まっています。しかし現行の技術では、高価で希少な白金が触媒として使用されており、今後、長期に渡って幅広く普及するには、白金を使用しない触媒の開発が欠かせません。近年、白金代替触媒として、炭素と窒素のみから構成される窒素ドープカーボン触媒が注目を集めていますが、実用条件である酸性環境下では、活性を著しく低下させてしまうことが重大な課題です。ところが、触媒反応のプロセスが複雑であることから、活性低下が生じるメカニズムは明らかになっていませんでした。
 本研究チームは、均一な構造を持つモデル触媒を用いることにより、窒素ドープカーボン触媒の反応の初期過程および酸性環境下で活性が低下するメカニズムを明らかにしました。
 窒素ドープカーボン触媒では、窒素原子に2つの炭素原子が結合したピリジン型窒素と呼ばれる部位が活性点となります。このピリジン型窒素は、酸性溶液中では、プロトンが吸着したピリジニウムとして存在しており、電圧をかけて反応を進行させると、熱反応である酸素分子の吸着と、電気化学反応であるピリジニウムの還元反応が同時に起こり、触媒反応が進行することを見いだしました。触媒活性を高めるためには、この反応をより高い電位で起こすことが必要です。そのためには活性点近傍の疎水性を高めることが有効であることも分かりました。

>窒素ドープカーボン触媒の反応メカニズムを解明
18:15 | 投票する | 投票数(4)
2021/01/08

森助教ら、ガラスの普遍的励起を再現可能な新しい誘電関数を提案

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Cambridge大学のA. Zaccone教授らの共同研究グループは、筑波大学・数理物質系の森龍也助教と協力して、ガラスの未解決問題の一つであるボゾンピークという普遍的励起に関する誘電関数の提案を行い、赤外(テラヘルツ)スペクトルにおけるボゾンピークの再現に初めて成功しました。

>
ガラスにおけるテラヘルツ光の吸収スペクトルを再現可能な新しい誘電関数を提案
16:12 | 投票する | 投票数(3)
2021/01/06

世界⼀構造秩序のあるガラスの合成と構造解析に成功

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京都大学・複合原子力科学研究所の小野寺陽平助教、物質・材料研究機構および高輝度光科学研究センターの小原真司博士(他に、バース大学、早稲田大学、東京工業大学、岐阜大学、弘前大学、東京大学、琉球大学、ラウエ・ランジュヴァン研究所、オークリッジ国立研究所、ラザフォードアップルトン研究所、理化学研究所、ノルウェー科学技術大学、産業技術総合研究所、立命館大学)らの共同研究グループは、筑波大学・数理物質系の森龍也助教と協力して、世界一構造秩序のある永久高密度シリカガラスの合成に成功し、その構造を大型放射光施設SPring-8をはじめとする量子ビーム施設を横断的に利用して明らかにすることに成功しました。

>世界⼀構造秩序のあるガラスの合成と構造解析に成功 ―ガラスの⼀⾒無秩序な構造の中に潜む秩序を抽出―
16:54 | 投票する | 投票数(3)
2020/12/18

小泉裕康准教授の論文が EPL’s top 10 2020 に選出

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物理学の全ての分野をカバーする学術誌EPL に今年掲載された論文のうち、
ニュース、ブログ、SNSなどを通じて最も話題となった論文をランキングしたも
ので、小泉准教授の成果は幅広いメディアに取り上げられ、第1位にランクイ
ンしています。

論文:Reversible superconducting-normal phase transition in a magnetic
field and the existence of topologically protected loop currents that
appear and disappear without Joule heating

論文発表時の日本語版プレスリリース:「なぜ、超伝導電流は電気抵抗なしで
消えるのか? 〜磁場中での超伝導-常伝導相転移を説明する新理論〜」

14:27 | 投票する | 投票数(3)
2020/12/16

電気伝導性と応答速度を両立する新しいゲル状電気化学トランジスタ

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 トランジスタはPCやスマートフォンなどの電子機器などに組み込まれている、電流のオン/オフを制御する重要な素子です。実用化されているトランジスタの大半は、シリコンなどの硬い無機材料で作られており、少ないエネルギーで安定的に動作しますが、近年は、より幅広い用途に対応できる、柔軟性を持つフレキシブルデバイスの開発が進められています。その一つに、有機材料を用いたトランジスタがありますが、流すことができる電流の量が少ないことが欠点です。これを解決するデバイスとして登場した、有機電気化学トランジスタ(OECT)は、従来の有機トランジスタよりも、千倍以上の電流を流すことができますが、電流のオン/オフが切り替わる際の応答速度が非常に遅いという課題がありました。
 このような電気化学トランジスタの問題を克服するため、今回、本研究グループは、幅数十ナノメートルの有機半導体ナノファイバー中に、その100倍の重量比のイオン液体を取り込んだゼリー状材料「πイオンゲル」を、電極上にのせるだけで機能する、新しい電気化学トランジスタ「PIGT」(π-ion gel transistor)の開発に成功しました。これにより、これまでに報告されている蓄積モード電気化学トランジスタと比較して、約50分の1の20マイクロ秒以下という世界最高速の応答性と、非常に大きな電気伝導性の両立を実現しました。このデバイスは、作製プロセスの簡便さとゲル特有の柔軟さから、フレキシブル電子デバイスへの応用が期待されます。

>電気伝導性と応答速度を両立する新しいゲル状電気化学トランジスタを開発
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2020/12/09

高効率ペロブスカイト太陽電池の劣化機構を分子レベルで解明

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 ペロブスカイト太陽電池は最近注目されている高効率な次世代の太陽電池です。しかし、分子レベルのミクロな観点からの劣化機構が不明で、太陽電池の長寿命化の妨げとなっていました。
 本研究では、電子スピン共鳴を活用し、従来の手法では困難であったペロブスカイト太陽電池の劣化機構を分子レベルで解明することに成功しました。独自に開発した太陽電池の構造を活用し、電子スピン共鳴と太陽電池の性能を同時に計測する、世界初開発の測定手法を用いた成果です。
 この手法による計測の結果、太陽電池が動作している状態で、太陽電池の内部の電荷状態(スピン状態)の変化が太陽電池の性能(電流や電圧)と強く相関していることを見出しました。そして、太陽電池の性能の変化は、太陽電池の構成材料である正孔輸送層の電荷状態の変化に由来することを明らかにしました。この変化は太陽電池の電流の増加や低下と電圧の低下を生じさせます。
 また、太陽光に含まれる紫外光がペロブスカイト太陽電池の正孔輸送層のドーピング効果を劣化させていることも分かりました。紫外光照射下で電子輸送層に生じた電子が、本来起こってはならない正孔輸送層へ移動し、その移動が暗状態でも持続的に生じていることを示しました。
 本研究チームの開発した手法により、太陽電池の性能の劣化を防ぐために必要な、これまでにない分子レベルの情報を提供することが可能となりました。
 今後、本手法で得られた分子レベルの情報を基にすることで、低コスト、高効率かつ長寿命な太陽電池の製品開発が効率よく進むことが期待されます

>高効率ペロブスカイト太陽電池の劣化機構を分子レベルで解明 〜低コスト長寿命な製品開発に貢献〜

14:19 | 投票する | 投票数(4)
2020/10/27

赤外光を通すバイオマス新素材開発

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持続可能な社会の実現に向け、環境への負荷が少ない材料や合成法の開発が求められています。その一つとして注目されているのが、藻類が作る炭化水素(オイル)です。藻類は、オイルを作り出す過程で二酸化炭素(CO2)を吸収するため、製造に伴うCO2排出量が差し引きでマイナスとなる「カーボンネガティブ材料」になることが期待されています。化石燃料に替えて活用すれば、地球温暖化対策にも有益です。

本研究では、この藻類オイルや植物由来の精油成分など持続生産可能な資源と、石油の精製過程などで生じる余剰資源のイオウから、赤外光透過性とゴムのような弾力性を併せ持つ高分子材料を開発しました。原料を混ぜ合わせて加熱するだけの簡単なプロセスで合成することができ、原料と製造方法の両面から環境負荷の低い材料と言えます。また、任意の形に成型できる加工性の高さも特色です。

今回、この材料をレンズ形状に加工し、伸縮させることで、赤外光の焦点位置を調節することにも成功しました。この機能を活用すれば、複雑で高価な機械式レンズ駆動機構を簡略化できます。

赤外光用のレンズは、遠隔監視用カメラや安全・防犯のためのセキュリティカメラ、工業製品の検査装置用カメラなど、幅広い用途で活用されています。IT化、ネットワーク化の進展とともに、その重要性は増々高まるものと考えられます。しかし、従来の材料は加工が難しく、高価でした。

今回の研究成果は、加工が容易で安価な赤外光透過材料の開発という、社会のニーズに応える端緒となることが期待されます。

>赤外光を通すバイオマス新素材開発


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2020/10/12

ミリ波・テラヘルツ波を用いた新しい磁気記録方式が登場!!

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東京大学大学院理学系研究科の大越慎一教授、大阪大学レーザー科学研究所の中嶋誠准教授、富士フィルム株式会社記録メディア研究所の白田雅史研究マネージャー、堂下廣昭所長らの共同研究グループは、筑波大学数理物質系の所裕子教授、東京大学の宮下精二名誉教授、株式会社日立ハイテクの山岡武博氏らと協力して、ミリ波・テラヘルツ波を用いた新しい磁気記録方式「ミリ波磁気記録」の開発に成功しました。

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2020/08/31

タンパク質に潜むフラクタル構造がもたらす挙動をテラヘルツ光で視る

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筑波大学 数理物質系の森龍也助教、小島誠治名誉教授、山本洋平教授、所裕子教授、白木賢太郎教授、立命館大学理工学部の藤井康裕講師、是枝聡肇教授、東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の気谷卓助教、および東京大学大学院総合文化研究科の水野英如助教らは、生物の構成要素であるタンパク質に内在するフラクタル構造に起因した挙動(ダイナミクス)を、テラヘルツ光で検出・評価することに成功しました。

>
タンパク質に潜むフラクタル構造がもたらす挙動をテラヘルツ光で視る
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2020/08/26

なぜ、超伝導電流は電気抵抗なしで消えるのか?

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国立大学法人筑波大学計算科学研究センター 小泉裕康准教授は、現在、広く適用されている超伝導理論では説明ができなかった、超伝導体が磁場中で超伝導状態から通常の金属状態(常伝道状態)に相転移する際、超伝導電流がジュール熱を発生せずに消失するという現象の、理論的解明に成功しました。

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なぜ、超伝導電流は電気抵抗なしで消えるのか? 〜磁場中での超伝導-常伝導相転移を説明する新理論〜
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2020/08/19

湿度によって色が変わる新しい分子性多孔質結晶を開発

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国立大学法人筑波大学数理物質系 山本洋平教授、山岸洋助教、所裕子教授らは、国立大学法人大阪大学大学院工学研究科 武田洋平准教授ら、国立大学法人九州大学先導物質化学研究所 アルブレヒト建准教授、国立大学法人東京大学大学院理学系研究科 大越慎一教授ら、公益財団法人高輝度光科学研究センター 池本夕佳主幹研究員、国立大学法人東京工業大学、株式会社リガク、マラガ大学(スペイン)との共同研究により、湿度変化に応じて大きな発色変化を示す分子性多孔質結晶を開発しました。

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湿度によって色が変わる新しい分子性多孔質結晶を開発
18:57 | 投票する | 投票数(2)
2020/05/22

偽造不可能なマイクロ光認証デバイスを開発

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国立大学法人筑波大学数理物質系 山本洋平教授、同大学院数理物質科学研究科 岡田大地(研究当時、現 国立研究開発法人理化学研究所研究員)らは、立教大学理学部 森本正和教授、同未来分子研究センター 入江正浩客員研究員・副センター長、国立研究開発法人物質・材料研究機構 長尾忠昭グループリーダー、三成剛生グループリーダー、石井智主幹研究員ら、ライプニッツ光技術研究所(ドイツ)との共同研究により、偽造不可能なマイクロ光認証デバイスを開発しました。

偽造不可能なマイクロ光認証デバイスを開発
14:34 | 投票する | 投票数(2)
2020/05/15

超伝導体テラヘルツ光源の同期現象を初めて観測

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筑波大学数理物質系の辻本学助教らの研究グループは、京都大学大学院工学研究科の掛谷一弘准教授、パリ高等師範学校のDhillon博士らの研究グループとの共同研究で、超伝導体テラヘルツ光源の同期現象の観測に成功しました。


14:20 | 投票する | 投票数(2)
2019/10/04

2020年4月〜 学位プログラム制への移行に関わる重要連絡

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本専攻は2020年4月より「応用理工学学位プログラム物性・分子工学サブプログラム」へと移行します。
2月期に行われる大学院入学試験では、学位プログラムでの入試となります。

2020年4月からの「筑波大学大学院の改組再編等(概要)」(2019年9月26日更新)
10:00 | 投票する | 投票数(3) | 連絡事項
2018/06/22

山本先生 2つの準位から同時にレーザー発振する有機結晶を開発

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筑波大学数理物質系 山本洋平教授、同大学院数理物質科学研究科 岡田大地(物性・分子工学専攻 博士後期課程3年)は、神奈川大学理学部 辻勇人教授、東京大学大学院理学研究科 中村栄一特任教授、産業技術総合研究所、ストラスブール大学との共同研究で、π共役系分子マイクロ結晶からの同時多色レーザー発振に成功しました。

2つの準位から同時にレーザー発振する有機結晶を開発

16:09 | 投票する | 投票数(3) | 研究関連
2018/06/01

IMS Seminer ,6/18(月)「テラヘルツ光による高分子構造の解明と操作」

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物質科学セミナー
2018 年 6 月 18 日(月)午後 16 時 45 分 ‒
3B213 プレゼンテーションルーム
理化学研究所 保科宏道

テラヘルツ光による高分子構造の解明と操作(PDF)

10:00 | 投票する | 投票数(3) | イベント
2017/01/30

IMS Seminar, 2/27「現象解明をベースとした論理的な有機EL材料の開発」

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物質科学セミナー
プレ戦略イニシアティブセミナー
2017年2月27日(月)午後4時〜
3B213プレゼンテーションルーム
北 弘志
現象解明をベースとした論理的な有機EL材料の開発(PDF)

10:00 | 投票する | 投票数(3)

応用理工学学位プログラム共通事務室
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Tel: 029-853-4996

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